ハイライトすると「記憶から消えやすい」
ではハイライトの目的はなんでしょうか?
脳のくせを考えると、ハイライトは記憶には適しません。むしろハイライトをすると、その内容が記憶から消えやすくなることが指摘されています。
だから脳のくせを逆手に取って、「覚えるため」ではなく、一旦「忘れるため」にハイライトを使うのです。
人間のワーキングメモリは非常に小さく、心理学者のコーワン(2010)の研究によると同時に保持できる情報は約3〜5個程度しかありません。そのため文章を読みながら、意味を理解し、他の知識と関連づける作業を頭のなかだけで行うのは難しいのです。
例えば、何でも目だけで学習する人がいるとします。ノートを取らない姿が逆にかっこよく映る場合もありますが、多くの人にとっては効率的ではない玄人用の方法なのであまりお勧めできません。
玄人ではない私たちが効果的に結果を出すために、ハイライトを活用します。すなわち、重要な情報に印をつけ、「ここは後で見返せる」と知識を「一時的に脳の外にお預けする」のです。このように脳内の情報を一旦脳の外に保存して、脳の負担を軽減する行為を「認知的オフローディング」といいます。
全体の5%程度に絞る、初読では線を引かない
モリソンら(2020)の研究でも、脳内の情報を外に預けることで短期的な課題において成績が向上することが示されています。ハイライトは、ワーキングメモリを空けて、効率的な勉強を図る手段なのです。
これまで述べたことをまとめて、実際にハイライトを効果的に使用する具体的な方法をお伝えしましょう。
①量を絞る
全体の5〜10%、本当に必要なところだけに引く
②「あとでハイライト(あとハイ)」方式
初読では線を引かない。二読目でも「大事」と思ったところを選ぶ
③余白のメモを添える
関連付ける内容を余白に書き込む
④思い出すためのきっかけにつなげる
ハイライト部分から問題を作り、隠して答える
⑤間隔をあけて再テスト
翌日、数日後、1週間後と分散してチェックする
ちなみに、④はカーピックとブラント(2011)の研究でも、思い出す練習は、理解を深める効果があることが示されています。

