所得税率は課税対象となる所得額が195万円までは5%、195万超330万円以下は10%、330万超695万円以下は20%……というように課税所得金額が高くなるにつれて高くなる。課税所得は年収ではなく収入から控除額を差し引いて計算するので、夫婦と16歳未満の子ども2人の家庭で年収500万円程度であれば所得税率は10%になるだろう。

旧制度の契約で所得税率10%であれば5万円×10%=5000円、20%なら1万円の節税になる。この節税分を年金を受け取るまで使わずに貯めておけば、インフレに勝てないまでも大負けすることはなさそうだ。ただし節税分は強い意志をもって残しておく必要がある。

一歩踏み込んで積極的にインフレに対抗するにはどうすればいいのか。すでに加入している個人年金保険を解約しても現状では受け皿がない。そこで契約はそのままにして、

(1)来年から始まる少額投資非課税制度(愛称NISA(ニーサ))を活用し、新たに投資信託の積み立てを行ってインフレを上回る運用益を目指すという“合わせ技”でのぞむ。

(2)企業型確定拠出年金のマッチング拠出(個人で追加拠出できる制度)を利用するか、会社に企業型が用意されていなければ個人型に加入して所得控除や運用益の非課税という税制優遇を受ける。

という方法がいいだろう。ただし先に書いたように、節税分は使わずに残しておかなければだめだ。

(構成=山本信幸)
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