「人気キャラ」ではなく「人気にしたいキャラ」を主役に
しかし、今年の『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』でピックアップされたキャラクターは、テレビアニメシリーズでもまだ数回しか登場したことのない萩原千速(はぎわらちはや)だ。比較的新しいキャラクターと言ってよく、本作で初めて目にする観客も少なくないだろう。
コアなファンの間では彼女の支持は伸びていたかもしれないが、赤井や安室、灰原のような一線級の人気キャラクターとは言い難い(昨年の映画でメインを張った長野県警組にも同じことが言えるかもしれない)。それでも、興行収入は100億円を突破する勢いだ。この結果は、すでに『コナン』映画の人気がキャラクタードリブンな要素だけでなく、作品そのものが「年に一度のフェス」として期待をかけられる段階に到達した可能性を示唆している。そうなると、劇場版自体がキャラクターの人気を底上げするトリガーとしても機能するだろう。今後、千速の人気は高まっていくことが予想される。
キャラクター主導で作品の人気を引き上げ、その作品が定番の娯楽として定着すると、今度は逆に「売り出したいキャラクター」を映画に登場させることでそのキャラクターの人気が高まり、それがさらなるファン層の拡大につながっていく——そうした好循環が生まれていくことになる。
「推しのための鑑賞体験」を超えて、作品そのものが推される状況。『名探偵コナン』は、国民的フェス映画としての押しも押されもせぬ地位を獲得しつつあると言えるだろう。
参照
※1 https://realsound.jp/movie/2020/01/post-484505_2.html
※2 https://www.oricon.co.jp/news/2443892/full/
(杉本 穂高)

