「推し活ブーム」にあわせた方向転換が大成功
2014年、人気キャラクターの一人である赤井秀一が活躍する『名探偵コナン 異次元の狙撃手(スナイパー)』が、シリーズで初めて興行収入40億円を超えるヒットを記録する。このあたりから、『コナン』シリーズはドル箱タイトルとして右肩上がりの記録を作り続けていくことになる。2016年の『名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)』では、人気キャラクターの安室透がフィーチャーされ、60億円を超える成績を記録した。このあたりから、シリーズはキャラクタームービーとしての性格を一段と強めていく。
2016年は、アニメ映画の変化を考える上でも重要な年だ。新海誠監督『君の名は。』の大ヒットが新たな時代の到来を予感させたこの年、応援上映を中心に支持を広げた『KING OF PRISM by PrettyRhythm』が公開される。スクリーン上の推しを応援するために劇場へ足を運ぶという行動様式が広がり始めたのもこの時期であり、『コナン』シリーズもその波に乗って大きくなっていった。
安室透、赤井秀一、平次と和葉、怪盗キッド——人気キャラクターがその都度、前面に押し出されることによって、ファンは「推しの晴れ舞台」を観るために何度も劇場に足を運ぶようになる。『コナン』シリーズは応援上映を中心にした興行展開をしているわけではないが、「推し活」としての映画鑑賞を広めた功労者でもあると筆者は考えている。
こうした方向転換は、制作サイドも十分に自覚したうえで進められていた。シリーズの制作・プロデュースを担うトムス・エンタテインメントの竹崎忠社長は、筆者も壇上に立った東京アニメアワードフェスティバルのシンポジウムにおいて、シリーズ黎明期の劇場版は子ども・ファミリー向けの色調が色濃かったものの、長年にわたってシリーズを続けるうちに観客自身が成長し大人になっていったことこそが、大きな転換点になったと語っている。
