「幸福感」「意欲」を高める

味噌をはじめとする発酵食品を日常的に摂るべき理由は、腸内環境を酸性に保つためだけではない。

「やる気が出ない」「気持ちが落ち込む」

こうした症状に関係するのがセロトニンとドーパミンだ。幸福感や意欲に直結するこれらの神経伝達物質は、実は発酵食品に豊富に含まれている。

「セロトニンはアミノ酸の一種なんですよ。発酵食品にはアミノ酸が豊富に入っているから、基本的には発酵食品を食べていれば摂れます」

ドーパミンの材料となるチロシンも同様だ。「入ってない日本の発酵食品はほぼない」と藤本先生は言い切る。腸内環境を整えるとミネラルの吸収力が上がり、神経の働きが安定する。

腸を整えることは、そのままメンタルを整えることにつながっているのだ。

「メンタルに効く」味噌汁の具材とは

その味噌汁だが、具材と出汁を工夫することで、五月病やメンタル不調への効果を高められるという。

「リラックスしたい、眠りをよくしたいなら、グルタミン酸系の食材を入れてください」

グルタミン酸は神経細胞に伝達する成分で、リラックス効果につながる。グルタミン酸が豊富な食材の代表がトマトと昆布だ。どちらもグルタミン酸を多く含むため、組み合わせると相乗効果が生まれる。

「だから栄養士の間では、トマト味噌汁がかなり人気なんですよ。理にかなっているんです。出汁も昆布系にすると、さらにリラックス効果が高まります」

収穫したてのトマト
写真=iStock.com/Iulduz Khairullina
※写真はイメージです

一方、鰹節系の出汁はイノシン酸が豊富で、傷の回復や細胞の生まれ変わりを助ける。

「手術後や体にダメージがあるときは鰹節系がいい。同じように傷の回復効果につながる赤味噌や八丁味噌と鰹節の組み合わせが最強です」と藤本先生は力を込めた。なるほど、徳川家康が八丁味噌を陣中食にしていたのは、理にかなっていたわけだ。(【記事を見る】だから徳川家康は「平均寿命の2倍」も長生きした…陣中で「インスタント食品」にしていたスーパーフードの名前

徳川家康肖像画
徳川家康肖像画〈伝 狩野探幽筆〉(画像=大阪城天守閣蔵/PD-Japan/Wikimedia Commons

目的に合わせた味噌汁の組み合わせをまとめると、こうなる。

「リラックス・睡眠の質を上げたい」なら、昆布出汁×白味噌×トマト。昆布とトマトのグルタミン酸が神経をなだめ、白味噌のGABAが安心感やリラックス・睡眠の質向上をもたらしてくれる。

「体のダメージを回復したい」なら、鰹節出汁×赤味噌(八丁味噌)。イノシン酸が細胞の生まれ変わりを助け、赤味噌のアミノ酸が傷ついた組織の修復をサポートする。

毎朝の味噌汁を、その日の体調で選ぶ。それだけで、食卓が「薬」になる。

【味噌汁の選び方】
「リラックス・睡眠の質を上げたい」→昆布出汁×白味噌×トマト
「体のダメージを回復したい」→鰹節出汁×赤味噌(八丁味噌)