抱いていたコンプレックス

西部と私の共著『難局の思想』(角川oneテーマ21)所収の三島論で私が、「三島が好きな人というと、たとえば沢木耕太郎とか、猪瀬直樹とかが『三島、三島』というので、私はちょっと苦手な傾向があります」

と切り出すと、西部は、

「僕は、三島は嫌いっていうか、苦手なんですね。三島由紀夫を比較的好きな人がいまもまわりに多く、冗談で言えば不幸な人生ですけど(笑)、そういう人たちとはすごく気をつけて付き合っています。実は学生運動をやっていたときも、三島由紀夫を好きな運動家とか指導者が多かった。そういう人たちともずっと意見が合わないということもあって、なるべく小説も評論も読みたくないと思っていた。だから、いい読者ではなかった」