旨みを閉じ込めた焼き牛丼が大ヒット

そして、11年6月のオープン以来、非常に好調なのが焼き牛丼の店「東京チカラめし」だ。出店スピードを急ピッチで上げていることもあって、12年4月末時点で首都圏を中心に70店へ達した。

東京チカラめしではライバル牛丼チェーンの「1駅・1店舗路線」と一線を画し、新宿駅周辺で6店出店するなど、集客力のあるエリアでの徹底したドミナント戦略を貫いている。

確かに、既存の大手チェーン3社がしのぎを削る牛丼市場に参戦するのは無謀という見方があった。しかし、私は「工夫すれば隙間は必ず見出せる」という強い信念を持っていた。

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三光マーケティングフーズの高収益を支える新業態の開発

実は私は独立した当初、牛丼店を営んでいたことがあるのだ。その後居酒屋に転身したものの、当時からもっとおいしい牛肉の調理法があるのではないかと感じていて、最終的にいきついたのが「焼く」ことだった。これなら本来の旨みを肉に閉じ込められる。さらに、基本メニューの焼き牛丼をオープン価格で280円にするなど、コストパフォーマンスが高くなるよう心がけている。それで営業時間中はほぼ満席状態が続き、女性のお客様も多いのだろう。

商売の種を見つけるためには、常識にとらわれないことも重要であり、そこで私が大切にしているのが自分の好きに生きる“ガキんちょの心”だ。もちろん、会社の経営にあたっては、人並み以上の常識は必要である。しかし、その一方で少々常識外れでも、これと思った1つのことに夢中になってエネルギーを注ぎ込む情熱を持ち続けることも忘れてはならない。

それに、自分の「好き」を突き詰めていれば、つらい時期があっても、問題を打破しようとポジティブになれる。社長室でふんぞりかえっていないで現場へ──。それが何よりも大切だ。

三光マーケティングフーズ社長 平林 実
1949年、東京都生まれ。72年法政大学経営学部卒業後、アルバイト先のレストランに就職。75年に独立し、JR神田駅高架下に定食屋「三光亭」を開業。84年から居酒屋の業態を展開する。