典型的な「マッチポンプ」

当初の見出しが日本による武力行使につながると警戒感を煽るものであったのとは好対照だった。

これこそ、メディアによる典型的な「マッチポンプ」だ。

むろん、見出しに乗せられた薛剣の軽挙妄動は、沈着冷静であるべき外交官として言語道断だ。だが、火をつけておきながら、いったん火が大きくなると鎮火に走る、あるいはそのふりをする。こんなメディアの姿勢こそが俎上そじょうに載せられるべきだ。

根底に高市政権の足を引っ張ろうとの政治的動機があるのは、まさに火を見るよりも明らかといえよう。

慰安婦問題を想起する人がいてもおかしくない。吉田清治の虚言に飛びついて大きな外交問題に発展させていったのも朝日新聞だった。

こんなメディアと向き合っていかざるをえない高市政権は、本当に茨の道である。

マッチ
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雑誌出身のジャーナリストと新聞記者の違い

外交評論活動を行うようになってから、交わるジャーナリストが大きく変わってきたことを実感している。インターネットテレビ「文化人放送局」で毎週木曜日に共演している加賀孝英氏や、刺激満載の対談本『媚中』の共著者である門田隆将氏らが典型だ。二人とも文藝春秋社や新潮社出身の敏腕ジャーナリストだ。

週刊誌・月刊誌記者と外交官。普通であれば、人生の軌道が交わることはまずない。

外務省時代、「週刊誌・月刊誌による取材は報道課を通じて」というのが鉄則であり、直接相対することが避けられていたからだ。

課長、審議官、局長とキャリアを重ねるにつれ、外務省幹部が付き合うジャーナリストの大半は、外務省に設けられている「かすみクラブ」に所属している、いわゆる「オールドメディア」の記者となる。具体的には大手新聞社、通信社、地上波テレビ局。霞が関のどの省庁でもとっている記者クラブ制度のなせる業だ。