「とにかく話が急」な時代

『スラムダンク』のエンディングテーマ「あなただけ見つめてる」を書いた大黒摩季にも、当時のタイアップ事情について話を聞いたことがある。彼女はブレイクのきっかけになった「DA・KA・RA」の制作背景をこう語っていた。

柴那典『ヒットの復権』(中公新書ラクレ)
柴那典『ヒットの復権』(中公新書ラクレ)

「事務所でとあるCMのプロデューサーに会ったんです。その人には食えない時代にも仕事をいただいて、お世話になっていて。『いいCMの話があって、ビーイングさんに来たら曲があると思って来たんだけど、もうないと断られた』って言うから、『いつまでになにをしたらいいですか? やりますよ、恩返しとして』『明日の昼までにお願い』なんて話をして。それで寝ないで作ったのが、“DA・KA・RA”なんです」(CINRA.NET「大黒摩季はなぜ復帰した? バブル時代も主婦の気持ちも知る女の歌」2016年11月25日掲載)

「そばかす」にしてもこの曲にしてもそうだが、大きなタイアップ案件なのに、とにかく話が急なのである。

「あなただけ見つめてる」の主人公は、付き合う彼の好みに合わせて「サッカーさえも好きになったわ」と歌う女性だ。バスケをテーマにした『スラムダンク』の世界観にはそぐわない歌詞である。しかしアーティストにその責任があるわけではない。スタッフからアーティスト側にアニメの情報や世界観が十分に共有されていなかったケースもあるだろうし、もともと作品と関係なく制作していた楽曲が起用されたケースも多かったはずだ。つまりは「そういう時代だった」ということなのだろう。

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