3Dプリンタ市場は、特にパーソナルタイプの急激な成長が予想されている。ちなみに写真は“業務用”3Dプリンタである。

東京リスマチックは、10年に3Dプリンタ導入計画を立ち上げ、現在までに新型機を含めて5台のマシンを入れている。

目下、愛好家を納得させる製品づくりにフル稼働の状態だが、ここまでに至る経緯を兼松将堂・立体造形推進チームマネジャーは、次のように説明した。

「これまで2次元の印刷を糧としてやってきましたが、2次元だけでは飯を食っていけない時代がそのうち来るだろうと感じていました。例えば、プラモデルの箱だとか、段ボールでできた什器だとか、そういうものを設計・印刷する部門を新設して、2次元から3次元へ、紙から立体物へという動きを少しずつ取り込んできたのです。24時間総合印刷サービスのわが社が3Dプリントをお客さんに提供するようになれば、2次元から3次元まで広い範囲でモノづくりをサポートできるのではないかと考えたのが、立体造形工房を始めたきっかけです」

「魔法の箱」とも称される3Dプリンタは、ひと言でいえば、「3次元データを基に専用の機械で樹脂や金属などの素材を積み重ね、モノを印刷するような感覚で立体物をつくり出す装置」と定義すればいいだろうか。ここで言う「3次元データ」は、CAD(コンピュータによる設計)によって描かれたデジタルの画像を忠実に再現することで、立体的な造形物がプリントされる。

3Dプリンタには、熱でドロドロに溶かした特殊な樹脂をノズルで吹きつけ冷やして固める「積層方式」や、樹脂の細かい粒子を吹きつけて層を重ねていく「インクジェット方式」など、いくつかの種類が存在する。この技術は四半世紀ほど前に実用化されていたが、ここ数年、使える素材が樹脂から金属などに広がるにつれて、つくる立体物の精度も格段に向上してきた経緯がある。加えて、価格もかつて数千万円したものが、数百万円、数十万円へと急速に低下し、最近では、一般家庭でも購入可能な10万円台後半の低価格機が登場している。

この流れの中、メーカー各社もこぞって参入に乗り出すなど、百花繚乱の3Dプリンタ全盛期となっている。

ここ数年、3Dプリンタをうまく使いこなすことで、ビジネスを生み出す新しい動きが次々と出てきている。