宮家に養子を迎えることの本質

というのも、正仁親王は90歳であり、華子妃も85歳である。2人ともかなりの高齢である。

華子妃の場合には、今年になっても公の場面に姿を現すことはあるが、正仁親王はほとんどそれがなくなっている。仙洞御所で開かれる上皇や上皇后の誕生祝賀に参列するだけで、一般国民の前に姿を現したのは、2024年3月29日に科学技術館で開かれた「第82回全日本学生児童発明くふう展」表彰式に臨席したのが最後である。

旧宮家の男子を養子に迎えたからといって、それで済むわけではない。

元は宮家とはいっても、養子になった男子は皇族としての生活をそれまでまったくしていなかったわけで、皇族としてのふるまい方を身につけるには時間もかかる。どうふるまえばよいのか、誰かに教えてもらわなければならない。

光格天皇は9歳で即位したが、先帝の未亡人や関白など強力な指導者がいた。それが、今では見込めない。

教育だけではなく、ともに国民の前に現れて、その認知度も高めていかなければならない。そうした役割を高齢の常陸宮が果たすことはほとんど不可能である。華子妃一人でそれを担うのも現実的には難しい。

秋篠宮の意向とも合致する養子案

このように考えてくると、旧宮家の男子を養子にとれる家が、実はほとんど存在しないことが明らかになってくる。

養子案を推し進める人たちは、その点を考えているのだろうか。少なくとも、話題になってこなかったことは確かである。

そうした中で唯一可能性があるのが、秋篠宮家である。

秋篠宮皇嗣殿下(2025年撮影)
秋篠宮皇嗣殿下(2025年撮影)(写真=Isaac Castillo/エクアドル共和国大統領府/PD-author-FlickrPDM/Wikimedia Commons

秋篠宮家には、文仁親王と紀子妃が揃っており、現在の時点では高齢者の仲間入りもしていない。精力的に公務をこなしており、養子を迎えたときに「皇族としてのふるまい方」を教えることができるし、国民の前に同行することもできる。

独身の佳子内親王はいるものの、赤坂御用地内の秋篠宮邸から離れたところにある分室(旧御仮寓所)で生活している。筑波大学で学ぶ悠仁親王も、主に学内で生活しており、両親とは同居していない。大学生活はまだ3年続き、その後には海外に留学する可能性が高い。養子が秋篠宮邸に住むこともできるはずだ。

養子になろうと手を挙げた旧宮家の人間がいた場合、秋篠宮家に入ることになるのではないか。それはなんと、秋篠宮の考えとも合致するのである。