日本経済の中核を担う製造業。その最前線の工場には身分の異なる2種類の労働者が存在する。1人は月例給と賞与が保証され、なおかつ期間の定めのない、いわゆる終身雇用の正規社員であり、もう1人は、わずか3年で雇用期間が終了し、正規社員より処遇が劣る派遣社員である。製造現場の階層化はいったい何をもたらしたのか。

「制服が違うことよりも何か近寄りがたい感じがありましたね。一緒に喋ってはいけないような雰囲気があり、休憩中も別々に集まっては小声で話をしていました。なんでこんな小声で喋らないといけないんだと、よく仲間内で語っていました。不良品が出ると、どうせ俺たちには関係ないよという雰囲気があり、上司もどうせ彼らがやっているんだからしょうがないなと思っていたのではないでしょうか」

ある男性の派遣社員は製造現場の実態をこう吐露する。2003年の労働者派遣法改正により、国策でつくり出された「製造業派遣労働者」は“身分格差”を内包したまま、一時は100万人を超え、日本の製造業を底辺で支えた。しかし今や経済不況の直撃を受け、大量の“派遣切り”に象徴される構造的矛盾を一挙に露呈し、中途解約、雇い止めに踏み切った企業はマスコミをはじめ世間の指弾を浴びた。

(小原孝博、熊谷武二=撮影)