「宗教票」と「労組票」は融合できるのか
今回の選挙で、中道改革連合は惨敗した。これから中道という枠組みが維持されるのか、それとも解党されて公明党と立憲民主党がそれぞれの道へ戻っていくのかは、現時点では不透明だ。
しかし、ひとつ確実に言えることがある。それは、日本最大の宗教団体(創価学会)と、日本最大の労働組合(連合)が支援する政党が手を組んだとしても、単純に「1+1=2」のような力を発揮することはできなかった、ということだ。
組織票とは、単なる数字の足し算ではない。それを構成するのは、感情を持った生身の人間である。思想信条もカルチャーも異なる組織同士が、上層部の握手だけで現場レベルまで一致団結することは、極めて困難であることが証明された。
結果こそ出なかったが、東京24区のように効果的な支援体制を構築できる地域もあるだろう。だがそれは、「応援しにくい人物がいなくなった」「共通の敵がいた」「候補者が地元出身でフレッシュだった」という、さまざまな好条件が奇跡的に重なった結果に過ぎない。
読売新聞オンラインの記事でが「立民系のベテランは『新党結成によって入ってきた票よりも、逃げた票の方が多かった』と振り返った」と報じている。立憲出身の大物が次々と落選する、立憲票が融解するような状態では組織票があっても機能するはずがない。
仮に東京24区のように、そこまでの条件が整ったとしても、無党派層の支持を広く得られなければ小選挙区で議席を得られない。
高市首相の戦略に圧倒された
「組織票があれば勝てる」や「組織票が動かなかったから負けた」という、マスコミが当初報じていた分析は誤りだったと言わざるを得ない。
そもそも、今回の解散総選挙は高市首相が「高市早苗が内閣総理大臣でよいのか国民の皆様に決めていただく」ために打って出たものだった。本来であれば中道は高市首相以上の人物を党代表として担ぐか、高市首相が語ってきたものより強い政策を打ち出さなければいけなかった。しかし、結局のところ魅力的な代表を立てられず、消費減税は与野党ともに主張したことで争点化できなかった。
急な解散によって立憲と公明の政策や組織票をまとめる時間もなく、生煮えの状態のまま選挙戦に突入してしまったといえる。
組織票というのはあくまでも選挙結果を構成するひとつの要素であって、その動きがそのまま選挙の結果を左右しているわけではないのだ。自民党圧勝と中道惨敗は、「組織票のもろさ」を明らかにした選挙結果だったともいえる。
今回の選挙で中道の野田佳彦共同代表は「比較第一党」を目指したが、結果的には議席数を3分の1に減少させてしまった。もし今後も中道として比較第一党や政権交代を目指すのであれば、「宗教票」と「労組票」を現場レベルで融和させ、そのうえで無党派層に響く主張を展開していけるかがポイントとなる。
今後、組織票を背景とした中道の主張は無党派層に届くのか。あるいは、政党として存続できるのか。新党の行く末に注目したい。

