冬ならではの「うつ」の要因
2つ目は、メラトニン分泌の乱れです。日照時間が減って暗い時間が長くなると、体内時計が後ろにずれます。その結果、睡眠ホルモンであるメラトニンが過剰に分泌され、日中の眠気や活動性の低下を引き起こすのです。
3つ目は、ビタミンDの生成不足です。日光を浴びることによって体内で生成されるビタミンDは、気分の調整に関与しています。冬期はビタミンDの生成量が減少しやすく、これが気分の落ち込みに影響を及ぼすとされています。
このほか、寒さは交感神経を刺激し、慢性的な疲労感を生むことがあります。ただでさえ冬は感染症が増え、身体的ストレスが高まりやすい時期です。こうした要因も少なからず体調に影響しているでしょう。
つまり2月の不調は、個人の意志の強さ・弱さではなく、生物学的・生理学的な反応の結果として生じているのです。SAD患者には、抗うつ剤を処方するなどの薬物療法や心理療法、あるいは両方の治療が行われる場合があります。症状がつらい場合には、心療内科を受診するのもよいでしょう。
人のメンタルヘルスに影響する「3要素」
今話題になっているのは「2月病」ですが、春を過ぎたら「5月病」が、そして夏が過ぎたら「9月病」がやってきます。
そもそもなぜ、人間のメンタルヘルスは季節によって左右されるのでしょうか。それは、先述した「生理面」に加え、「心理面」「社会面」の3つが相互に影響し合っているためだと考えられます。
・心理面:冬の「停滞感」や春の「期待と不安」など、季節に対する意味づけ
・社会面:年度末や長期休暇後など、社会のリズムが変わる影響
人には、季節に「意味」を持たせる習慣があります。例えば、新年なら「心機一転、今年の目標を立ててがんばろう」、3月から4月なら「春は別れと出会いの季節」などです。こうした意味づけは、人の心理状態に少なからず影響し、場合によってはストレスの元になり得ます。
また、年末年始のイベント疲れが2月にやってくるように、季節ごとに社会のリズムが変わる点も、心理状態に波が生まれる原因です。先ほど挙げた「5月病」や「9月病」は、長期休暇後のリズム崩れが大きな要因となっています。

