修行条件が整いすぎていた多良間航路
ただ、ほかに大東諸島・与那国島などもあるRACの離島路線のなかで、なぜ1航路だけ予約が取り尽くされてしまったのか? ……筆者は、多良間島だけ「ポイント・マイル稼ぎ」の条件が整いすぎていたと考える。
先に述べたとおり、LSP獲得のために飛行機に乗る人々は、目的地に到着して空港の敷地外に出ることもなく、すぐ折り返す。宮古空港~多良間空港は片道25分・1日2往復で、多良間空港に到着して30分少々で折り返すため、この航路なら1往復90分ほどでLSP10ポイント、ポイントアップキャンペーン中なら20ポイントを稼げるのだ。
かつ多良間空港は、降りると目の前に搭乗ゲートが見えるほどにコンパクトだ。さらに、遅延や休航などのトラブルがあっても、片道2時間のフェリーに乗れば、宮古島までは戻れる。極度に折り返しやすく、いざというときはフェリーを使えばよいという安心感もあり、折り返し前提でついつい旅程に入れたくなってしまうのだ。
そもそも、国内でここまでJAL系列の航路が集中して、飛行機で離島巡りができるのは八重山諸島(宮古島・石垣島など)しかない。1日で10航路以上も乗り継ぐこともある「マイル修行僧」は、高確率で多良間航路の予約を取ってしまった、という訳だ。
「病院の先生が来ない」島民の苦悩
こういった事情で飛行機に乗れなくなった多良間島民は、相当に困惑している。
一般的に12月・1月は旅行需要の少ないオフシーズンだが、島民にお話を伺ったところ「多良間は沖縄の黒糖生産の4割を占めるため、12月~3月のサトウキビ収穫・黒糖製造のために、この時期は関係者の往来が激しくなる」そうだ。
かつ、ブランド牛「多良間牛」の牛セリ(競り市)開催前にも、多くの畜産業者が多良間を訪れる。出荷対応でフェリーの運航時刻が大幅に変更になる日もあるため、多良間島への移動手段は飛行機のみになってしまう。
「黒糖」「多良間牛」といった特産物の出荷で忙しいところに「マイル修行僧」が殺到したため、仕事で往来する人の飛行機の予約も取れなくなってしまったそうだ。
島民も、宮古島にある総合病院への通院ができない。さらに、乳幼児検診のために島を訪れる医師の航空チケットすら手配できず、検診そのものが延期に追い込まれるという非常事態も発生しているようだ。
さらに多良間島に就航する機体(ボンバルディア社・DHC-8-Q400CC)は貨物スペースを広く取っている関係で、通常より少ない50席程度しかないため、何かがあるとすぐに予約が埋まってしまう。
地元密着の飛行機で、島民向けには運賃が格安になる補助まで設定しているのに、肝心の予約が軒並み満席で取れない。何らかの対策を必要とされていることは、明らかだろう。





