台湾有事をちらつかせる中国
西側の研究者の中には、脅威論を否定する声もある。
人民解放軍の軍事的準備レベルは侵攻に不十分であり、統一を強行すれば中国が負う経済的コストも甚大だとする意見だ。
だが、アメリカの外交政策研究所は、中国がこれらの課題を十分に認識したうえで、影響を最小限に抑えようと先手を打っているのだと指摘する。民間と軍の補給体制を体系的に統合しており、有事には素早く展開するだけでなく、作戦を持続できる態勢が整えられているという。
中国共産党の習近平総書記は2017年、第19回党大会で「中国の夢」構想を発表した。中華民族の偉大な復興を掲げるこの構想の中核に据えられたのが、台湾統一である。習氏にとって、台湾の「祖国への回帰」は自身の政治的遺産として欠かせない要素なのだ、と同シンクタンクは指摘する。2024年12月31日の新年に向けた演説でも、「誰も祖国統一の歴史的大勢を阻止することはできない」と宣言している。
中国は動員制度を変革するに留まらず、民間インフラを軍事演習に動員し、そして台湾周辺での威圧的な演習を常態化させている。少なくとも圧力を強めていることは確かであり、有事への発展が懸念される。
日本の最西端・与那国島は、台湾からわずか110キロに浮かぶ。万一、台湾有事となれば地政学的リスクや物流の混乱が生じると予想され、日本にとっても遠い異国の出来事では済まされない。


