形あるすべてのものを信仰の対象とした日本人

もともと日本人は形ある自然界のすべてのもの、太陽や月、山や岩、大木や河川、雷や火などに霊格を見出し、神々として信じ、畏敬した。古代に人力で制御できないものをすべて神とするのは、多くの民族にも共通しておりアニミズムの世界である。ただ、自然を制する呪術師や預言者、部族王など人的崇拝を経てアニミズムを脱するのが一般的なのに対し、日本の場合は神道として宗教化した。八百万の神として祀ったのである。

6世紀以降、国家体制を築く過程で「記紀」を編纂し、国生みの物語から始めて天皇を天孫降臨した神の子孫として神格化したのも大きい。しかも、八百万の神を信奉するが教義を持たない神道は融通無碍で、中国から伝来した仏教や儒教を、国家の運営と護持のために利用した後、平安時代になると神と仏を一体化させた。

神仏習合であり、「神道の神々は仏教の仏の化身である」という本地垂迹説ほんじすいじゃくせつである。皇祖神の天照大神は大日如来の化身というわけで、仏が神の上位にいる印象だが、実際は神道の懐の深さの証明で、神の化身が仏だという逆本地垂迹説を述べる人もいる。