豊かなメルヘンの世界が広がる「星のポーとペー」

「グリコのおまけ」と聞くと、ノスタルジックな想いが込み上げてくる人は多いと思うが、当然ながらそのイメージの中心になるのは、かつて自分たちが少年少女だったころのおまけに限られるだろう。

しかし、本書を手にその歴史をたどってみると、「グリコのおまけ」がもつ世界は実に広く深く、時代ごとにそのイメージを大きく変えてきたことがわかる。

写真を拡大
独特のフォルムが想像力を刺激する「星のポーとペー」シリーズ。

今回、筆者がはじめてその存在を知って衝撃を受けたのが、80年代半ばに登場した「星のポーとペー」シリーズだ。このころの「グリコのおまけ」には、オリジナルキャラクターが多数登場するようになっていたが、「星のポーとペー」はその代表格で、独特の世界観をもとに魅力的なキャラクターが生み出された。脇役のキャラや道具にも同じコンセプトが貫かれ、眺めているだけでほのぼのとしたストーリーが今にも紡ぎだされるようだ。

世はバブル景気でだれもが浮かれている時代に、「おまけ」という小宇宙の中でこんなにも豊かな世界が創造されていたとは思いもよらなかった。

『グリコのおもちゃ図鑑』に掲載されている写真は、すべて森永氏自身が撮影したものだ。1つ1つに愛情を注ぎながら撮影したことが伝わってくるもので、プロの写真家が見過ごしてしまうかもしれないおまけの表情を的確に捉えているように思われる。

秋の夜長、本書を片手におまけの織りなす世界にじっくり浸ってみるのもいいのではないだろうか。

森永卓郎
1957年生まれ。東京大学経済学部経済学科卒業。現在、経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。専門は労働経済学と計量経済学。そのほかに、金融、恋愛、オタク系グッズなど、多くの分野で論評を展開。「グリコのおもちゃ」をはじめ、ミニカー、ペットボトルキャップ、空き缶などのコレクターとしても知られる。
(撮影=森永卓郎)
【関連記事】
「ガンダムの経済学」なぜ不況下で最高益なのか?
なぜ3000円の男用パンツが86万枚も売れたか
「マルちゃん鍋用ラーメン」が突然売れ出した理由
ルイ・ヴィトンと無印とカレーの共通点
売り上げ3倍「山スカート」はなぜ、女心をつかめたか