年金生活を実現する老後サバイバル4条件

Cさんのケースは夫の急死という自営業夫婦にとっての最大のリスクが顕在化した例だが、備えと柔軟な対応があれば「なんとかなる」ことを示している。

これまでの内容から、国民年金受給者だけでなく厚生年金がある会社員も含めたすべての人が学ぶべき、老後サバイバルの4つのポイントを見ていこう。

【①老後生活の基本は持ち家】

Cさんが生き残れた最大の要因は、夫が残した立地のよい不動産だった。夫は遺族年金を残すことはできなかったが、結果として毎月10万円を稼ぐ資産を残してくれたのだ。もしこれが、売ることも貸すこともできない不便な場所にある持ち家だったり、家賃を払い続ける賃貸だったりしたら、Cさんの生活は困難なものになっていただろう。

自宅と事業所を兼ねた不動産を持つことは、老後が経済的に不安定になりがちな自営業者にとって合理的といえる。会社員の場合も、ずっと賃貸で生活するつもりなら、そのコストを加味して老後資金を計画する必要がある。いずれにしても早いうちから試算し、準備を始めたほうがよい。

【②生活力の基礎となる節約習慣】

Cさんは月15万円の収入で母と暮らしている。母にも年金収入があるし、身の丈に合った生活コストで暮らす習慣があるので、経済的な不安はあまりない。前編のAさんもそうだったが、老後の安心を決めるのは貯蓄額よりも生活コストの低さだ。

老後になってから急に生活レベルを下げるのは難しい。会社員も現役時代から、支出をダウンサイジングするトレーニングをしておく必要がある。食材を使い切る工夫、通信費の見直し、車を持たない選択など、小さな工夫の積み重ねがやがて習慣になる。

【③働けるうちは働く】

Cさんは60代でも、週3日・1日4時間の仕事で月5万円を稼いでいる。現役時代のような高収入は望めなくても、月5万円あれば年金の不足分などを補える。また、Cさんのように社会との接点を持ち続けることは、配偶者を亡くした後の孤独や喪失感を癒やす効果も期待できるだろう。

会社員も定年後の再雇用などで、長く働ける環境が整ってきた。健康であれば体力的に無理のない範囲で働き続けられるのだから、いま蓄えが少なくても過度に恐れる必要はない。人的資本(働ける身体とスキル)は最強の資産なのだ。

【④インフレに負けない「資産形成」】

そして最後は、やはりお金の置き場所だ。Cさんは不動産(実物資産)を持っていたため、インフレに対応しやすい。もし資産がすべて現金預金だけだったら、昨今の物価上昇で実質的な価値は目減りしていただろう。

公的年金は「マクロ経済スライド」によって物価上昇に完全には追いつかない仕組みになっている。現金だけでなく、株式や投資信託といったインフレに強い資産を組み入れておくことが、長生きリスクへの備えとなる。

会社員が老後破綻を恐れなくていい理由

ここまで、国民年金だけでもなんとか暮らしている人々の事例を見てきた。受け取れる年金は少なくても、やり方次第で老後を不安なく暮らせるものだ。

会社員であれば、夫婦2人で月20万円以上の年金が見込めるケースが多い。夫が亡くなれば、妻には遺族厚生年金も支給される。もし年金だけで生活できないとしても、その不足分はそれほど多くはないだろう。早くから対策を立てれば、十分に対応は可能だ。

まずは家計を見直して、生活コストを下げることから始めてはいかがだろうか。

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