自営業者夫婦1カ月の家計簿

筆者が実際に相談を受けた、ある自営業の夫婦(地方在住・60代後半・建築業)Bさんの家計を見てみよう。持ち家(ローン完済)があり、世帯の年金受給額は国民年金の満額より少ない約13万円だ。

【図表】自営業Bさん夫婦の1カ月の家計簿(概算)

平均の25万円よりずっと少ないが、前編のAさんのような月6万円という極限の節約生活と比べれば、月13万円の生活には多少のゆとりがある。夫婦合わせての年金収入が月約13万円で支出が13万2000円なら、計算上は毎月トントンということになる。仮に多少不足していたとしてもBさんはまだ現役なので、特に問題はない。このように夫婦というユニットでの生活防衛は、非常に理にかなっているといえる。

自営業者が持つ6つの強み

さらに、自営業者には会社員にはないアドバンテージがある。それが以下の6点だ。

【強み①:節約が習慣になっている】

毎月の給料が決まっている会社員と違い、自営業者は収入の変動が激しい。そのため入ってきたお金を全額使ってしまわず、悪いときに備えて支出を締める習慣が身についている人が多い。平均的な統計データなど関係なく、自分の収入範囲内で暮らすスキルが高いのだ。

【強み②:長く働ける】

自営業者最大の強みは「定年がない」ことだ。総務省の「労働力調査(2024年)」でも高齢者の就業率は上昇傾向にあるが、自営業者はもとから高かったのではないか。個人の信用で仕事をしている人も多く、一度固定客が付くと廃業まで続くケースも珍しくない。業種によっては60代ならむしろ若手で、80代まで現役で稼ぐ人もいる。月数万円程度の赤字なら、少し働けばすぐに埋められる。

【強み③:持ち家率が高い】

店舗兼住宅や事務所兼自宅など、事業のために持ち家を確保しているケースが多い。ローンも事業の好調期に完済していることが多く、老後の住居費負担が軽い。

【強み④:いざとなったら事業用資産を活用できる】

前述の建築業のBさんも、自宅以外に資材置き場としての土地を持っていた。「いざとなればあれを売ればいい」という安心感がある。会社員は退職金の額や受け取る時期を自分で決められないが、自営業者は保有資産をいつ売るか、貸すか、自分でコントロールできる。

【強み⑤:早くから「自助努力」をしている】

「自分には退職金も厚生年金もない」と20代の頃から自覚しているため、個人年金や不動産などで会社員よりも早くから老後準備をしている人が多い。

【強み⑥:なかには会社員よりずっと裕福な人も】

「国民年金=貧しい」というイメージがあるかもしれない。しかし、現役時代に事業で成功し、不動産や株式などの資産を築いている人は少なくない。フロー(年金)は少なくても、ストック(資産)が厚いのが自営業者の特徴だ。