――OECD(経済協力開発機構)による移民の定義で、永住型と一時滞在型の違いについて教えてほしい。
永住型は、滞在期間や更新回数に上限がないものだ。日本では、在留資格の6割超がこの永住型に該当する。一方、一時滞在型は期間や更新回数に上限がある。留学、企業内転勤、技能実習、一部の特定技能などがそうだ。特定技能でも、更新回数に上限がないもの(特定技能2号)は永住型に分類される。
日本語には短期滞在者を含む国際移民を包括的に指す言葉が長く存在せず、「外国人」という言葉でひとまとめにしてきたが、留学生も移民だ。諸外国では季節労働者が典型的な一時滞在型であり、ワーキングホリデーなどもこれに含まれる。
日本では、永住型の中で帰化して国籍を取得する割合(在留外国人総数に対する年間の帰化数)は、1%に満たない。日本が二重国籍を認めていないことや、永住資格があれば参政権を除いてほぼ日本国民と同じ扱いになることもあり、国際的にみても非常に低い水準だ。
――永住型の移民には、目的別に、労働、家族、人道などの類型がある。具体的には?
まず労働は、働くために来る人だ。労働に付随してくるのが帯同家族だ。
一方、家族というのは、結婚や呼び寄せだ。OECD諸国、特に北米やヨーロッパでは、旧植民地と旧宗主国の関係などから、同じエスニックグループが国境をまたいで存在していることが多い。その中で出会って結婚する結果、例えばフランス国籍とモロッコ国籍で、形式上は国際結婚になる、というケースも珍しくない。これが家族という類型だ。
人道は難民で、難民申請者や庇護申請者が該当する。
――歴史的背景によって、植民地を持っていた国と、持っていなかった国とでは違いがある。
移民と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、戦後に旧植民地が独立し、その後に旧宗主国との間で人の移動が起きたケースだと思う。
イギリスやフランスのような旧宗主国では、いま在留外国人の多くを旧植民地出身者が占めている。戦後復興と高度経済成長の中で労働力が必要となり、旧植民地との人的な行き来が本格化した。
ヨーロッパの場合、植民地が独立した時点では、植民地出身者はまず国籍をどうするかという選択があり、その後に旧宗主国へ移動してくる。元は同じ国や帝国の構成員だったという前提があるため、制度的にも入りやすかった。
日本は逆だ。終戦時点で既に、100万人を超える旧植民地出身者が国内にいた。当時の日本政府には、国籍を選ばせたり、長期的に管理したりする余裕はなかった。連合国軍総司令部(GHQ)の方針もあり、原則として外国籍とし、帰国させる。日本の戦後の移民政策は、こうした形で始まっている。
是川 夕(これかわ・ゆう)
1978年青森県生まれ。国立社会保障・人口問題研究所国際関係部部長。東京大学文学部卒業。カリフォルニア大学アーバイン校修士課程修了。東京大学大学院人文社会系研究科修了。博士(社会学)。内閣府勤務を経て現職。OECD移民政策会合メンバー。


