ありきたりな表現は新たな会話を生まない

「お肉が好きです」→「シャトーブリアンが好きです。特に佐賀唐津にある食べログ4.14のステーキ屋『キャラバン』のシャトーブリアンが好きです」

「お肉」という抽象的な言葉だけでは、会話が広がりません。「シャトーブリアン」という固有名詞に加えて、店名や食べログの評価といった具体的な情報を添えれば、相手は「この人は本当に肉が好きなんだな」と興味を持ち、食の趣味について会話を広げるきっかけが生まれます。

「好きなタイプは優しい人です」→「思わずLINEを聞きたくなる人は、おなかいっぱいになったときに残りの鍋を1.5杯分食べてくれるほどのキャパがある優しい人です」

第4章で私が問題視した「好きなタイプは優しい人です」というつまらない回答を改めてぶっ壊しましょう。「優しい人」という誰にでも当てはまるような返答は、相手の想像力を停止させます。しかし、具体的なシチュエーションを提示すれば、「この人は面白いな」という感情が生まれ、相手は「どうして?」とさらに質問したくなります。

ありきたりな返答は、相手の想像力を刺激しません。しかし、このように固有名詞や数値を盛り込むことで、相手の脳内に具体的なイメージが立ち上がり、そこから会話がさらに広がっていくのです。この訓練は、相手の感情や興味の動きを想像する「人間理解」を深めるための、最もシンプルで効果的な筋トレです。

お茶を飲みながら話す男女
写真=iStock.com/itakayuki
※写真はイメージです

美容整形への偏見を肯定させるロジック

【ルール4:偏見をロジックで覆す「比喩表現」の訓練】
鈴木俊之『タイトルから考えよう』(星海社新書)
鈴木俊之『タイトルから考えよう』(星海社新書)

続いてのトレーニングは、世間的にイメージの悪いもの、あるいは偏見があるものを、論理的に肯定させるための「ディベート」です。このディベートを鍛えることで、タイトルや文章に説得力と深みを与える「比喩表現」の力が養われます。

なぜなら、人は頭ごなしに否定されると反発しますが、強い共感や意外な比喩で論理が通されると、すんなりと納得してしまうことがあるからです。

具体的な例として、若者の間では普通になりつつあるものの、いまだに根強い偏見がある「美容整形」を肯定させるためのロジックを考えてみましょう。

私は月一で韓国に行くほど美容クリニックで整形することが好きなので、こんな風にあえて否定派を説得する会話をすることがあります。

「○○さん、ご出身ってどちらですか?」
「栃木です」
「栃木の実家って築何年ですか?」
「生まれたときだから40年かな?」
「外壁工事とかされてないですか?」
「してますね、そりゃあ当然でしょう」
「ですよね? ではもう一つ質問。1985年のクルマをパーツを一切交換せずに乗り続けている人っていないですよね?」
「そうですね」
「となると、人間だけですよね? 40年間一度も修復してない状態を放置しているのは」
「なるほど!」

どうでしょうか。この段階で、相手は「確かに……」と納得せざるを得なくなります。