本格化する中国のエスカレーション

まず中国側の狙いについて分析しよう。松家氏は、中国の軍事活動の目的は、中国共産党の政治思想を背景に、軍事的な野心のみならず、国内世論の統制、疲弊する国内経済からの目眩しなど複合的な動機から成り立つと読み解く。

「中国軍は2025年11月に空母3隻体制を確立させた。これにより、空母から発艦する戦闘機の運用・訓練・整備のローテーション能力が飛躍的に向上したことに加え、第二列島線(伊豆諸島・小笠原諸島・サイパン・グアム・パプアニューギニアに至る中国の対米防衛ライン)への進出もすでに視野に入り、現実化している。日米両国への圧力を強化している形だ。現に、12月6日のレーダー照射も、沖縄本島南東公海で空母打撃群が演習していたときのものだ。この距離感であれば、日本側は九州地域まで緊張感が走る。軍事的には『平時の運用は作戦準備も兼ねている』というのが常識で、奇襲も十分考慮しておく必要がある」

【図表2】中国空母「遼寧」の動き
中国海軍艦艇の動向について」より 2025年12月7日(統合幕僚監部)

中国による奇襲リスクの高まり

「中国が示威活動を強める理由のうち、軍事的な動機はもちろん、国内の経済問題も考えられる。特に地方では経済的に疲弊しており、共産党指導部は国内世論を統制すべく『強い中国』を全面に打ち出したいという格好だ。先の『存立危機事態になり得る』という高市発言に関しても、中国側は日頃から日本の『失言』を待ち構えており、少しでも示威活動に使えそうな材料を探していたと考えられる。中国指導部は歴史的に自国に有利な『口実』を見つけるという政治スタイルを踏襲している」(松家氏)