「宗教観の違い」に精神を病んだ母
週末の礼拝ひとつとっても違いは明白だ。カトリックや国教会では、比較的簡素な内装の教会で、質素な祭服をまとった司祭が祈りを捧げ、パイプオルガンの音色に合わせて賛美歌が歌われる。一方、正教会の礼拝は、蝋燭の光が反射するイコン(正教会で信仰の対象として崇敬される聖画像。生神女マリアや聖人が描かれる)に彩られた聖堂で、香が焚かれ、鮮やかな祭服をまとった司祭とともに執り行われる。
とりわけ大きく異なるのは、日常に根ざした宗教観だ。
現在でもギリシャ正教の世界では、人々は日本人がご先祖のために手を合わせるような感覚で死者のために祈り、家庭や聖堂に置かれたイコンの前で祈りを捧げる。また、地域にゆかりのある聖人は、日本の地元の神社に親しみを抱く感覚に近いかたちで崇敬され、日々の生活の中で名を呼ばれる存在だ。
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