富士フイルムの「アスタリフト」、サントリーの「エファージュ」、コンビの「ナナローブ」。いずれも化粧品のブランドだ。異業種からの進出が相次ぐ化粧品市場で、レアメタルの輸出入や加工を手掛けるアマックスの「オリレワ」が存在感を増している。シアバター(シアの実から抽出される天然油脂)を使った「オリレワ」のリピート率は60%以上。業界平均の3倍だ。
「オリレワ」誕生のきっかけは、代表取締役の森憲一氏がレアメタルの取引でナイジェリアを訪れた際、知り合いから持ちかけられた「アフリカ産のシアバターを使って何かビジネスができないか」という相談だ。森氏は、食品として利用されているシアバターの安全性と保湿力の高さに着目。「サバンナの乾燥にも負けないシンプルなスキンケア」をテーマに商品化した。
「レアメタルの本業はいま非常に厳しい。今後はシアバターを使った新事業も計画している。5年後にはレアメタルの会社ではなくなるかも」(森氏)
異業種組に共通するのは、自社の技術や素材、ネットワークを化粧品に生かし、経営の新たな柱にしたいという発想だ。他社ブランドの化粧品製造を請け負うOEM企業が多数あるため、アイデアさえあれば化粧品は容易に作れる。ネット販売ならコストも低い。
70%以上という粗利益率の高さも参入が後を絶たない要因だが、数々の化粧品をプロデュースしてきたコンサルタントの新井幸江氏はこう指摘する。
「オーナーが原料に惚れ込み、ブランドの軸がぶれないことが大事。化粧品を使うことでどういう生活が送れるのか、ライフスタイル提案にまで踏み込むことも成功には欠かせません」
参入障壁の低さから、地元特産品を使ったご当地コスメも続出しているが、生存競争は熾烈のようだ。