「伊東のジャンヌダルク」と呼ばれていたが…
発端を振り返ろう。2025年5月25日に行われた市長選挙で、田久保氏は1万4684票を得て、現職(当時)の小野達也氏に勝利する。わずか1782票差での初当選であり、「改革」を掲げる彼女は、さしずめ「伊東のジャンヌダルク」(テレビ静岡による2025年6月27日配信記事の見出しより)だった。
就任から間もない6月下旬、19人の伊東市議全員宛てに「東洋大学卒ってなんだ! 彼女は中退どころか、私は除籍であったと記憶している。こんな嘘つきが市長に選ばれるなんて信じられない。議会に真実の追及を求める」との文書が届く。
このときから既に田久保氏は「被害者意識」をあらわにしている。田久保氏は、伊東市の広報に「平成4年 東洋大学法学部卒業」と記載していたため、市議会で「卒業していますね?」と問われた彼女は、次のように答えていたのである。
なぜ「学歴詐称」をすぐに謝らなかったのか
「私としては、怪文書といったような卑怯な行為を行う人間の要求を満たすことは、次の怪文書、また、市民に対してもこのような形で圧力をかけるといった、そういった行為の助長になる。そのように考えている。私からの個人的な発言については控えさせていただく」
(〈「除籍が判明」“学歴詐称疑惑”静岡・伊東市長が会見〉TBS NEWS DIG Powered by JNN、2025年7月3日配信)
「怪文書」であったのかどうか、さらには、それが「卑劣な行為」なのかどうか、そして「圧力をかける」かどうかも、もはや、どうでも良い。事実として、田久保氏は、東洋大学を卒業しておらず、「除籍」だった。それ以上でもそれ以下でもない。
にもかかわらず、市議会の場で「怪文書」だと言い切った。そこで、この答弁から10日ほど過ぎた7月7日に記者会見を開き、辞任した上で、再選挙に出馬する意向を示す。会見でもなお「卒業証書」を持っている、と主張し、「きちんと捜査機関のほうにすべてお調べいただいて、その結果を見ることが一番、真実に近いかたちを市民のみなさんにお示しできる」と述べた。

