怒りっぽい若者の心臓病リスクを調べると…

これらの研究やレポートにより、怒りが心疾患や脳卒中を引き起こすことは明らかですが、なにも中高年になってから気をつければいい、というものでもないのです。

澤口俊之『脳科学で知る! 世界一わかりやすい「怒り」の教科書』(ハーパーコリンズ・ジャパン)
澤口俊之『脳科学で知る! 世界一わかりやすい「怒り」の教科書』(ハーパーコリンズ・ジャパン)

若い頃の怒りも成人後の健康に影響を及ぼします。

ジョンズ・ホプキンス大学の研究では、医学生1055人を対象に、若年期の怒りがその後の心臓病リスクにどのように関与するかを追跡調査しました。平均36年間の追跡の結果、最も怒りっぽい学生は55歳までに心臓発作を起こすリスクが6倍、心血管疾患を発症するリスクが3倍高いことが判明しました。この傾向は、家族歴や喫煙、飲酒、血圧などの他のリスク要因を考慮しても依然として顕著でした。

怒り感情は他人とのコミュニケーションを損なうどころか、命にも関わる、深刻な疾患リスク要因となりえます。怒りの感情をいかに適切にコントロールしていくかは、単なるメンタルヘルスの問題にとどまらず、心身の健康を維持し、充実した人生を送るための重要なスキルと言えます。

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