浮体を海上でどう安定させるか

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三井海洋開発のWEBサイトより引用。

浮体式構造物の係留システムは、台風などの荒天でも安全を保てる高いレベルが求められる。海底資源を洋上に送るパイプは、曲がりやすく、かつ高圧に耐えられる特殊素材が用いられる。これらを正確に、安全に設置する作業船団も必要となる。浮体式構造物なかで最もポピュラーなのが「FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)」だ。

巨大な台船に海底から上がってきた原油から不純物や水、ガスを分離するプラントが載っている。プラントで余分なものが取り除かれた原油は、船腹のタンクに貯蔵され、定期的に輸送タンカーに積み出される。分離されたガスは、海底パイプラインで陸へ送られたり、FPSOのボイラーやガスタービンの燃料に使われたりしている。世界で約160基のFPSOが稼働中だという。

たとえば、MODEC(三井海洋開発)は、ブラジルのペトロブラス社が保有するリオデジャネイロ沖300キロの「Tupi」鉱区で、FPSOのエンジニアリングから設計、機器購入、建造、据付までの一括工事を担当。2010年から日量10万バレルの原油を生産し、15年間に及ぶチャーターサービスを展開している。