婚約者にお金を持ち逃げされた女性

この「丑の刻参り」は、人に見られると効力がなくなるともいわれていますので、私は気づかれないように社務所の小窓からうかがっていました。案の定、丑の刻参りでした。

長い髪を振り乱して、境内に入ってきたうら若いその女性は、実は毎朝のように神社へお参りにくる、近くの農家の娘さんだったのです。私はあまりのショックに、その夜は一睡もできませんでした。

呪いのわら人形
写真=iStock.com/boommaval boommaval
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翌朝、私はいつものようにお参りに見えたその女性に「おはようございます」と声をかけました。すると、彼女は急に血相を変えて、あたかも堪忍袋の緒が切れたかのように、その場で泣き崩れてしまいました。そして、自分から苦しい胸のなかを訴えてきたのです。一言でいえば、彼女は婚約者から裏切られたというのですが、それも、ただの裏切りではありませんでした。