まずは感情のもとにある自分の価値観を自覚し、肯定する。そして行動に移すときは、一拍置いて、相手にどう伝わるか(結果)を考える。このように自分の意識を無理に抑え込まないようにしたことで、体の不調もやがて解消に向かったという。
漆さんはいま、「仕事のスランプから仕事以外の方法で抜け出す」やり方を模索している。
「やることなすこと、すべて裏目に出るときがあります。気持ちはどんどん落ち込みます。その出来事を思い出すだけで暗い気持ちになる。そんな『負の循環』から抜け出すためのコツが見つかりそうなのです」
どういうことか。
「仕事以外で、到達不可能なくらいの目標にチャレンジするということです。私の場合はトライアスロンに挑戦しました。一歩踏み出してみたら不思議なほどよい偶然が重なり、仕事もプラスに回転し始めました」
実は競技成績のほうも順調に伸びている。2012年はなんと「トライアスロンの年齢別日本代表に選ばれてしまったんです(笑)」。戸惑い気味に漆さんがいう。これなら、スランプからの脱出にもかなりの効果が見込めそうだ。
(永井 浩、浮田輝雄、宇佐見利明=撮影)