愛子さまへの「帝王学」
戦後80年の「慰霊の旅」の多くに、敬宮殿下もご一緒された天皇皇后両陛下の異例のなさりようを拝見して、これこそが「帝王学」(皇位継承者としての適性を身につける修養)ではないか、という感想を持った人も多くいるようだ。
慰霊の旅だけでなく、たとえば100年ごとの「式年祭」の対象となる、過去の天皇のご事蹟をめぐる専門家による事前のご進講にも、敬宮殿下が陪席されている。これも前例がないことだ。さらに他の事例に照らしても、両陛下が敬宮殿下を次代の継承者として、より高い境地に導こうとされていることが伝わる。
悠仁さまだけになってしまう
しかし、今の皇室典範のルールでは、未婚の女性皇族はご結婚とともに皇族の身分を離れられることになっている。このルールのままだと、やがて今の皇族方の中では、秋篠宮家の悠仁親王殿下たったお一方だけが皇室に残る事態に陥りかねない。
その場合、畏れ多いが悠仁殿下のご結婚自体が至難になるおそれも、否定できない。
これまで、宮内庁の西村泰彦長官は「我々としては大変危機感を持っている」「国会における議論が進展することを望んでいる」(9月11日)などの発言を、繰り返している。宮内庁長官という立場を考えると、それが天皇陛下のお気持ちと無関係であるはずがない。
側室不在の「一夫一婦制」のもとで少子化が進んでいる。にもかかわらず、皇位の継承資格を狭く「男系男子」だけに限定する。そんな制度が長く維持できるわけがない。
およそ“伝統”とも言えない、前代未聞の自滅的なルールの設定と言うしかない。
当事者でいらっしゃる秋篠宮殿下は、現在のルールが持続可能性を期待できないことを、よくご存じに違いない。構造的な欠陥を抱える今のルールは、皇室の存続を望むかぎり、政府と国会の責任で必ず是正しなければならない。
その是正とは、女性天皇も女系天皇も可能になる方向への転換に他ならない。その転換が実現すれば、「直系優先」の原則(皇室典範第2条)によって、次代の天皇は敬宮殿下に決まる。

