「所得控除」の効果もたいしたことはない

また、個人年金保険は保険料が所得控除の対象となるので有利だと言われますが、これも実はたいしたことはないのです。

保険料をいくら払い込んだとしても所得控除となるのは所得税では4万円(2026年より25歳未満の扶養親族がいる場合は6万円)、住民税では2万8000円、合計しても6万8000円が上限です。

ところが個人型確定拠出年金(iDeCo)の場合なら、掛金の全額が所得控除されます。掛金の上限は職業や状況によって違いますが、最も掛金の上限が小さい公務員の場合でも現在その金額は年額24万円で、この金額が全額所得控除されます。つまり、個人年金保険の3倍以上になります。

もし自営業の場合なら、年間の掛金上限額は81万6000円となりますので、この場合は12倍の所得控除が得られます。個人年金保険とは比較になりません。

リスクを回避するなら国債のほうが良い

一方、個人年金保険も定額型ではなく変額型がありますが、その実体は投資信託に投資をするのと何ら変わりません。違うのは手数料がべらぼうに高いということだけです。もし、価格変動リスクを取ってもいいというのであれば変額個人年金保険で運用するよりも直接投資信託を購入した方が良いでしょう。

「いや、リスクは取りたくないから元本の安全なもので」という場合でも定額型の個人年金保険はやめておいたほうが良いでしょう。なぜなら、中途解約すると多くの場合、元本を割るからです。期間にもよりますが解約すると70%とか80%ぐらいしか戻ってこないこともあります。

したがって、長期にわたって元本が絶対安全で金利上昇にも一定程度連動するものをということであれば、個人年金保険よりも「個人向け国債 変動10年」(※1)で運用するのが良いと思います。

※1 個人向け国債変動10年 商品説明サイト(財務省ホームページ)

ビジネスマンの手の上にある日本地図と、上昇する株価チャート
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです