年金の本質は「貯蓄」ではなく「保険」

ここでもう一度年金の本質を思い出してください。年金の本質は保険です。つまり保障機能にあるわけです。年を取って働けなくなった時や障害を負ってしまった時などの生活を保障する手段です。

ところが世の中で“年金”と名前の付いている金融商品は、体裁は保険商品の形を取っていても実質的には貯蓄や投資なのです。個人年金保険も保障機能はほとんどなく、貯蓄を主眼としていますし、変額年金保険の場合はほとんど投資信託と同じです。

もちろん、貯蓄や投資が悪いわけではありません。公的年金を土台にして、それよりも豊かに暮らしたいので自助努力による貯蓄や投資でそれに備えるのは結構なことです。でももし、貯蓄とか投資をするのであれば他にもっと良い手段があります。

では具体的に買ってはいけない商品とその理由を挙げてみましょう。

「返戻率106%」を年利に換算すると…

個人年金保険は、基本的には貯蓄目的で利用されるものです。保険料を積み立てていって将来そこから受け取る仕組みですが、払い込んだ保険料の合計額に対して将来受け取る金額の合計がどれぐらい上回るかを「返戻率」と言います。

保険会社や商品によって違いますので一概には言えませんが、一般的には30年払い込んでそこから5年据え置き、10年間で受け取った場合で返戻率が105~106%ぐらいのものが多いようです。

仮に106%だとしてみると、「6%も増えるのか!」と思う人もいるでしょうが、これは年利ではありません。「100」積み立てたお金が45年かけて「106」になるということですから、複利計算してみると年利では0.4%弱にしかなりません。

「いや、それでも今の定期預金の金利を考えればそんなに悪くない」と言う人がいるかもしれませんが、これはあくまでも期間が30年です。向こう30年間、今の預金金利が全く変わらないならそれも良いでしょうが、おそらくそんなことはあり得ないでしょう。

さらに将来物価が上昇していることを考えるとこんな低い金利の商品に30年も40年も固定しておくというのは私ならとても怖くてできません。