ToDoリストと予定表はまったくの別物

数年前、予定表に書きこむことの効果を明確に示す、画期的な研究があることを知った。

その研究では、更生施設に入所している20人の薬物依存者が、その日の午後5時までに履歴書を書くよう指示された。指示どおりにすれば出所後の再就職に役立つというのが理由である。

具体的には、半数の人たちはいつどこで履歴書を書くかを明確に指示され、残りの半数の人たちは履歴書を書く時間と場所を好きなように選んでいいと言われた。つまり、後者のグループは履歴書を書く予定を自分で決める必要があり、前者のグループはその必要がなかったのだ。

その結果、前者のいつどこで履歴書を書くかを指示された10人のうち8人が午後5時までに履歴書を作成した。一方、後者の指示されていなかった10人のなかで履歴書を作成した人はひとりもいなかった。

予定に組み入れればやり遂げられるが、予定に組み入れなければやり遂げられない。これは単純だが、忘れてはならない重要な真実だ。

先延ばしグセを克服したいなら、ToDoリストにある項目を予定表に書き込む習慣を身につけよう。

スケジュールを書き込む
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ダメな朝「あるある」

次のようなことに、心当たりはないだろうか?

朝早くアラームが鳴っても、眠くて何度もスヌーズボタンを押してしまう。ようやくベッドから出たものの、起きるのが遅くなって目覚めから気分が悪い。

すぐに朝のルーティンを急いでやったが、時間がないので一部を省略してしまった。それから大急ぎで家を出て、職場に向かう途中でパンを買って食べた。残念ながら始業時間に遅刻してしまい、ぐったりと疲れてストレスがたまっている。

職場ですぐに仕事に取りかかろうとしても、自分にとって何が重要なことなのかわからず、メールやSNSをチェックしたりするうち、あっという間に30分が経過。それなのに、まだ何も実行できていない。そのうち後ろめたさを感じはじめる。

最悪なのは、まだ大切なことに取り組む気分になっていないことだ。

いったい何が起きたのか? 1日がはじまったばかりなのに、すでに後ろめたさやストレス、落胆などのネガティブな感情を味わっている。

目覚まし時計を止めようとする男性
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先延ばしグセが心の采配を振るう

ここで、なぜ私たちがやるべきことを先延ばしにするのかを思い出そう。

あなたもすでにご存じのとおり、理由はネガティブな感情から逃げるためだ。

先のような1日のはじまりだとどうなるか考えてみよう。

苦痛をともなうそれらの感情から逃げたくなるはずだ。そこで気分をまぎらわせるために別のことをして、さらに後ろめたさを感じ、1日中、やるべきことを先延ばしにしてしまう。

いったん「先延ばし→気晴らし→ネガティブな感情→怠けグセ」という悪循環に陥ると、そこから抜け出すのは難しくなる。

いったんダラダラすると、1日中ずっとそうなりやすい、

そして自分が非生産的であることに失望し、後ろめたさを感じるので、有意義なことを実行するのはほぼできなくなる。

要するに、先延ばしグセが采配を振っている状態になるのだ。