書き手の「意図」を汲み取る力
しかしだからこそむしろ、読解はより深いものへと向かわねばならない。すなわち、このような状況でなお読解力が必要とされるとすれば、それはことばの「意味」のレベルでなく、それより一段深い「意図」を感じさせるものを読む場合、ということになる。本書で言う読解力とは、「書き手の「意図」を汲み取る力」を指す。それは必ずしも文章の表面に現れていなかったり、軽く一読しただけでは腑に落ちなかったりするようなものを汲みとって理解する力である。本書で扱うテクストは、それゆえどれもそれなりに歯ごたえのあるものとなる。
これは別に文学的テクストにのみあてはまることではない。どんなジャンルのテクストでも、それが人によって書かれたものであるかぎり、そこには意図がある。「はじめに」でも触れたように、2×2=4という無味乾燥な等式さえ、それがどんなテクストのどこに置かれているかを考えることで、書き手の意図を汲みとることができる。
文脈によっては、書かれていることの直接の意味とその裏にある意図とがずれる場合もある。こうしたときの意図を読む営みは、生成AIにはできず、人間がそれを汲みとる力を養わねばならない。
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