「読める」ために必要な何層ものレベルの前提

ここまででわかるとおり、あるテクストが「読める」ためには、書き手との間で何層ものレベルの前提を共有していなければならない。

伊藤氏貴『読む技法 詩から法律まで、論理的に正しく理解する』(中公新書)
伊藤氏貴『読む技法 詩から法律まで、論理的に正しく理解する』(中公新書)

まずは同じ言語を共有しているというのが大前提だ。語や文法の知識が一致していなければ、テクストを通じたどんな意思疎通もありえない。

さらには、語の表層的な意味だけでなく、それにまつわる一般的知識も必要だ。クマという語から、その映像を思い浮かべられるだけでなく、「ハチミツが好物だ」という知識の有無が読みの深度を決める。

また、太郎、クマ、ハチミツ、ネコ、ネズミなどを、それぞれ属するジャンルに分類することも、論理的に文意を判断するのに役立っていた。こうした分類から判断へという推論の力も暗黙知の一部である。

たった一文でも、これだけの異なるレベルの前提=暗黙知が必要とされた。

【関連記事】
食前に「たった一杯」飲むだけで肝臓の脂肪を落とせる…専門医の中では常識「食物繊維、発酵食品」あと一つは?
血液をサラサラにし、骨のヨボヨボ化を防ぐ…大さじ1杯入れるだけで「納豆の真の力」が引き出せる液体の名前
ギャンブルでも、旅行でも、美術品収集でもない…和田秀樹が手を出すなという「世の中で一番金のかかる趣味」
これが不足すると骨がボロボロに…「日本人に足りない3つの栄養素」を一度に摂れる"和の伝統食"
パカッと開けて週に1、2個食べるだけ…がん専門医が勧める「大腸がんを予防するオメガ脂肪酸たっぷり食品」