なぜ“素人”の八雲が教師に選ばれたのか

対する八雲は、新聞記者として経験を積み文学の才能はあったが、教師としてはズブの素人であった。タットルを教師としての質が悪いからと解雇しているのに、次に招いたのは文部省からの推薦があるとはいえ、教師なんてやったこともない人物である。しかし、西田らがこれを心配していた気配は史料からは見られない。

教頭である西田は、英語も堪能だったので八雲の才能もすぐに見抜いたのであろう。なにより、自身も大学には進めず苦学して英語を習得し、4つ教職の免状を受けた人物だから、なにか通じるものがあったのだろう。