必ずしもメールに本文などいらない

コンサルティング会社時代に、私が感心したのが、タイトルだけ、というメールでした。表題にアスタリスク(*)が付いていれば、本文がないというメッセージ。「*今日9時に集合」「*会議時間、15時に変更」など、1行で済んでしまうものには、本文を入れない。見たときは、何も書かずに返信だけする。そうすれば、最低限のクリックだけで良くなる。効率を重んじるコンサルタントならではだと思いました。

基本的に上司は部下から報告がほしいものです。細かな報告はいい。メールを読んだかどうか、やったかどうか、だけがわかればいい。ただ、詳しい報告を求めるとメールが膨大になってしまいます。それなら「*○○の件、順調」というタイトルだけでいい。

みんなの行動をすばやくできるメール術、ぜひ独自で編み出してほしいと思います。

Slackなどのチャットツールを使ってみるのもいいでしょう。

忘れてしまうから、と部下にメールを送ってもらっていた私ですが、私自身で覚えておかないといけないことも、「書き残す」ことを意識していました。

私の場合は、ポスト・イットに手書きした「To Do List」(やるべきことリスト)をパソコンに貼り付けていました。これで、やらなければいけないことは一目瞭然です。

リストの個々の項目は、進行状況もわかるようにしていました。項目ごとに円を描いて四等分し、4分の1ずつ、終わったところで塗りつぶしていくのです。

年間の「やりたいことリスト」も書いておく

これによって、今やるべきことがどのくらい進捗しているのか、25%くらいまで来ているのか、50%くらいなのか、あるいは75%まで来ているのか、わかるようにしていました。

やるべきことを管理するだけでなく、それぞれの進捗状況も目で見て把握できるのです。

書いて残すことを意識していたのは、直近のやらなければいけないことだけではありません。長期で「こんなことをやりたい」というものも、文字に落とし込んでいました。

岩田松雄『新版「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』(サンマーク出版)
岩田松雄『新版「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』(サンマーク出版)

ザボディショップ時代、お正月に「今年こんなことをやりたい」と50の項目をリストアップして、書いて発表したことを覚えています。社内報を発刊する、絶版になっていた創業者アニータ・ロディック著『BODY AND SOUL』を再版させる……。

こんなにたくさん夢のようなことができるわけがない、という声も聞こえてきそうでしたし、私も3分の1くらいでもできたらいいなと思っていたのですが、年末、振り返ってみると、70%以上の項目が達成できていたのでした。

書いて残すことによって、やるべきことに、より意識が向かうのだと思います。実際、ときどき見返していました。あの件はどうなった、と尋ねたりもしていました。

聞いたら書く、思ったら書く。それを習慣にしてみてください。

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