“独裁者”の命運を左右する2つの案件

第42回「招かれざる客」(11月2日放送)では、この先の定信の命運を左右する2つの案件が描かれた。1つは、ラクスマンが乗るオロシャ(ロシア)の船が松前領ネモロ(根室)に着き、日本の漂流民(大黒屋光太夫)の引き渡しを兼ね、江戸への来航を希望していると伝えられたことだった。

ほかの老中からは、オロシャとの通商をはじめてもいいのではないか、という声も出されたが、定信の回答は次のようなものだった。「オロシャの船を江戸に入れるなど断じてならぬ! 口車に乗せられ、江戸に招き入れたところで、大筒をぶっ放さぬともかぎらぬではないか!」。だが、対外的な脅威が増したという認識においては、ほかの老中とも共通していた。

もう1つは朝廷との案件だった。光格天皇が父親で天皇になったことがない閑院宮典仁親王に、退位した天皇の尊称である「太上天皇(上皇)」の号を贈ると決めた、という知らせがもたらされ、すでにそれを拒んでいた定信が激怒したのである。本当に尊号を贈るのなら、朝廷への金銭援助を打ち切り、関わった公卿らを処罰するとまでいい出した。