社員一人ひとりと向き合うことで得られるもの
人に向き合うこと、それは非常に難しいことです。繰り返しますが、どれだけプレーヤーとして優秀でも、人間がわかっていなければ経営はできないのだと、本書は問いかけてきます。人間は一人ひとり違います。物事の好き嫌いもあれば、得意不得意もある。喜びを感じる対象も違います。それまでどんな人生を歩んできて、今後どうなりたいのか。そんな多様な個性を持つ人々と向き合わなければなりません。そして、そんな一人ひとりと向き合い続けることで得られるものが「信頼」です。言葉にすれば当たり前のことですが、本書では信頼を得ることの難しさと、大切さが一貫して語られています。
人間にはいろいろなタイプがありますが、例えば、期待されると頑張るというのは多くの人に共通しています。時代や年齢による違いはなく、つまりは人間の本性ともいえます。ジェニーン氏の経営論は、人間の機微を的確に捉えており、極めて高い「人間理解力」があると感じます。それは、経営者として欠かせない資質のひとつです。
ただ、ジェニーン氏は本田宗一郎氏のように、一緒にいるだけで楽しくて、やる気がわいてくるというタイプではなさそうです。いわゆる「人間力があるタイプ」ではなく、人間理解力に優れているのです。僕はファーストリテイリングの戦略構築や人材育成などのお手伝いをして15年以上になりますが、この点は柳井さんとも著しく共通していると思います。
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