大胆かつ繊細、未来志向、自分は運がいいと考えている。お金に愛される人だけが知るルールがある。ここでは、アジアを活躍の舞台に選んだ5人を事例に、黄金法則を確認しよう。普通のビジネスマンだった彼らは、どのように考え、行動して、成功への階段を上がったのか。
ツリーアイランズ シンガポール社長 木島洋嗣氏

シンガポールの金融街に隣接して、マリーナ・ベイを見下ろすコンドミニアムに、木島の住居兼オフィスがある。シンガポールに移ったのは09年。これが2度目の海外生活だ。

「学生のころからニューヨークの友達のところに遊びに行ったりしていた関係で声をかけられ、卒業後は国連や各国政府と連携して調査や研究を行うNPOで働き始めました。そのままニューヨークで暮らすつもりでしたが、父の病気をきっかけに2年弱で日本に帰国しました。

とくに何をするのか決めていなかったので、学生時代の先輩に誘われるままにリクルートに入社して、地方の自治体と組んでの活性化事業や、社長室や経営企画系の仕事もしました。おそらくあのころ、社内で1、2を争うくらいに海外出張に行かせてもらっていたと思います」

04年、独立。リクルート時代の最後は人材やキャリアの研究を行う機関にいたこともあり、独立後は採用と人事のコンサルティングを手掛けていた。

「しだいに仕事の幅が広がり、気がつくとアジアに進出したいという企業の相談を多く受けるようになっていました。シンガポールに出張する機会が増え、それならいっそ向こうでビジネスしようと、こちらに拠点を移しました。

こちらでも採用や人事のコンサルから入りました。ところが、安いフィーで請け負うローカルのコンペティターが多かった。もっとニーズがあり、コンペティターが少なく、フィーも期待できるものは何かと考えた結果、浮かび上がってきたのがアジアにハブ機能をつくる日系企業のコンサルティングです。アジア市場を考えるうえで本社機能をどうするのかという課題は最前線のテーマ。みなさん熱心だし、研究会や勉強会も盛んです。