「最近、気になっていることを挙げて」との指示に、頭が真っ白に。雑誌や新聞を引っ張り出して「むむむむむ……」。

話し合いの末、「ファストフード」をテーマに選んだ。ただし、まだ「お題」にはなっていない。大喜利のお題とは、現状の問題点を提起することである。そのテーマの何が問題なのか知る必要がある。「常識破り」と「常識知らず」は似て非なるものなのだ。

ファストフードに関して過去にどのような企画があったのか、本や雑誌、テレビ、インターネットで学びつつ、ファストフードのキーワードを最低30個は挙げる。内林くんに宿題が課せられた。

さらに、「プレジデント」の編集部である限り、自社媒体に適した企画を知る必要がある。「すでに実現している企画は『教科書』だと思ってください」。

「プレジデント」の特集や記事で目ぼしいものを同じく30個取り上げるよう指示する田中さん。「敵を知り己を知れば百戦危うからず」の王道である。

次は、具体的なお題を考える「発想力」の段階。田中さんによれば、この2つの作業を経たうえで「7つのテクニック」を用いれば、次々とお題をつくり出せる。

7つのテクニックとは、組み合わせ・逆転(逆にしてみる)・拡大(何かを足す)・縮小(何かを引く)・連想・パロディ・不満(自分の不満をのせてみる)である。それぞれのテクニックで3つずつ、合計21個のお題を出すことが内林くんに課せられた。

1週間後、内林くんはなんと30個ものお題を提出。仕事の間をぬってネタを考えたという。えらいぞ。

「組み合わせ」を使って「なぜ稼ぐ人はマクドナルドに行くのか」、「逆転」の発想で「妻とのマクドナルドデートで燃え上がる」、高カロリーのハンバーガーから「連想」して「燃費のいいファストフードランキング」、人気書籍の「パロディ」で「もし唐揚げを1週間食べ続けたら」……。やや粗さが目立つが、30個もあると光るお題も見つかる。