トランプ=豊臣秀吉

【兼原】トランプ大統領の日本に対する認識は1980年代の貿易摩擦の頃のままになっていて、「日本がアメリカの富を奪った」と2017年の時点でも思い込んでいました。確かに1980年当時は世界経済の20%を日本が占めていましたが、現在は4%です。かつて1ドル360円だった円の価値も数倍に切りあがっていて、日本は輸出国から投資国に生まれ変わっています。日本の対米投資残高は既に英国を抜いて世界一です。このようにすでに80年代とは状況が変わっているのだということを、安倍さんは繰り返しトランプ大統領に伝えていました。

「アメリカの製造業を日本が奪ったというけれど、違いますよ。それは今は中国に当てはまります。日本は日本車の工場をアメリカにつくって、アメリカで車をつくっているんだから」などと、その都度言い返して、トランプ大統領の認識を修正していました。

国際政治の場は、いわば大阪城のようなものです。トランプ大統領という豊臣秀吉がいて、安倍さんはその隣に座って、あれやこれやと指南していた。通常なら日本は伊達政宗ぐらいの扱いですから、秀吉から「何かあるか」と言われて初めて発言できるくらいの立場です。ただ、安倍さんは個人的な信頼関係で秀吉にとっての指南役も務めることができたわけです。