AIの介入を後押しする少子高齢化

しかし、本書のタイトル『AIに看取られる日』は、その「聖域」にさえもAIが容赦なく踏み込んでいく未来を示唆しています。医療の現場だけでなく、私たちの最も身近な生活を支える介護の領域、そして人生の終焉しゅうえんという極めて個人的で神聖な局面である看取りにおいてさえ、AIはこれまで想像もしなかった形で深く関与するようになるでしょう。

「AIが人を看取る」という言葉は、私たちの感情を揺さぶり、不安や抵抗感を覚えるかもしれません。それは、私たちの持つ人間性や尊厳──これらの根源的な概念を問い直すことにつながります。AIは感情を持たない。AIは倫理を理解できるのか。AIに共感は可能なのか──。