昔の人はどうやって結婚相手を選んでいたのか。駒澤大学の大城道則教授は「古代エジプトの第5王朝((紀元前 2500年ごろ)の王に仕えた宰相プタハホテプは、男性にとっては得難い宝となる女性の特徴を言い残している」という――。
※本稿は、大城道則『古代人の教訓 視野が広くなる、世界最古の格言』(ポプラ新書)の一部を再編集したものです。
ルッキズムの逆を行く「妻選びの助言」
【格言】明るい性格の人は喜びをもたらしてくれる
あなたは町でみんなに知られている気立てのいい、明るい性格の女を妻としなさい。そして年月を経てもこれらふたつの性格を失わないようであれば、決して彼女と離婚してはなりません。彼女の腹を満たすのです。明るい性格の妻はあなたに喜びをもたらしてくれるでしょう。(「宰相プタハホテプの教訓」より)
あなたは町でみんなに知られている気立てのいい、明るい性格の女を妻としなさい。そして年月を経てもこれらふたつの性格を失わないようであれば、決して彼女と離婚してはなりません。彼女の腹を満たすのです。明るい性格の妻はあなたに喜びをもたらしてくれるでしょう。(「宰相プタハホテプの教訓」より)
古代エジプト社会では、婚礼の儀式の証拠がほとんど残っていない。そのため当時の婚姻の実態がどのようなものであったのかわからないのであるが、この格言はそのヒントを与えてくれている。
結婚相手が「町でみんなに知られている」ような女性ということは、かなり身近な近所さんと結婚するということだ。また「気立てのいい、明るい性格の」女性が相応しいという。見た目を重視するルッキズムの逆を行く考え方である。外見や身体的特徴で人を差別しない賢者プタハホテプの見解は、現代世界にも通じる。
女性の社会的地位はけっこう高かった
古代エジプト社会では、一夫多妻は違法ではなかったようだが、一夫一婦制が基本であった。もちろん王は例外であり、ハーレムに複数の妻たちがいた。これは有力な周辺諸国と同盟関係を結ぶために実施された政略結婚が主な理由である。そのためハーレムは各国から輿入れしたプリンセスたちとそのお供の女性たちにより、国際色豊かな空間かつ多様性社会であったのだ。
また驚くべきことに古代エジプトでは、女性が結婚の際に持参した財産の所有権は法によって保障され、通常は共同財産の3分の1が女性に保障されてもいた。プトレマイオス朝時代にもなると、互いの財産権を明確にするために婚姻契約書が作成されることもあった。他の古代文明・文化と比較すると女性の社会的地位は高かったようだ。
「決して彼女と離婚してはなりません」とあることからもわかるように離婚は可能であった。幾つになっても「気立てのいい、明るい性格の」女性は、男性にとっては得難い宝であり、離婚してはならず、喜びをもたらすものというわけだ。

