※編集部註:初出時、「新生児訪問」と「乳児全戸訪問」の混同がありました。自治体によっては統合して行っていますが、それぞれ別の制度ですので訂正します。(9月1日16:25追記)
「新生児訪問」のための講座
先日、東京都のある自治体から「新生児訪問」や「乳児全戸訪問」をする保健師・助産師向け講座を依頼され、お話ししてきました。乳児全戸訪問とは、赤ちゃんが生後1〜4カ月までのあいだに、市区町村の保健師や委託された助産師が母子の自宅を訪ねるというもの。正式には「乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)」といい、その目的は次の通りです。
ほとんどの家庭は1回のみの訪問ですが、中には再訪問や見守りが必要なケース、支援や医療に繋げることが求められるケースもあります。一方、新生児訪問は生後28日までの赤ちゃんを対象にしていて、産後すぐの母子の心身の健康を守るために非常に大切なものです。
ところが、私は以前から診察室で、保護者になったばかりのお母さんやお父さんたちから、新生児訪問や乳児全戸訪問などのいわゆる「赤ちゃん訪問」で「こんなことを言われたのですが、本当でしょうか」「厳しく叱責されて悲しくなりました」などと相談されることがよくあります。
正解がないからこそ難しい育児
そもそも「子どもをどう育てたらいいか」というのは、時代や文化に大きく左右されるだけでなく、家庭ごとの価値観にもよっても違うもの。当然、保護者には子どもの健康を保ち、発達を促し、安全に育てることが求められています。が、昔から「育児に正解はない」といわれるように、一概にどうするのが正しいと断言することはできません。みんなが同じ育児法をすればいいというものでもないでしょう。
だからこそ多くの保護者はどうするべきか迷って、自分の親にどのようにしていたかを聞いたりします。でも、現在は50年前に比ベると、祖父母になる年齢が5歳以上も上がっていて、自身の子育てのことを忘れている人も少なくありません。
また、昔ならきょうだいが多かったり、近所に子どもがたくさんいたりして子守を頼まれることがあり、赤ちゃんに触れる機会がありました。ところが、現在は少子化の時代です。先日、2024年の出生数が70万人を下まわったという話がニュースになったほど。合成特殊出生率は、1947年に統計を取り始めてから最も低い1.15でした。特に東京は低くて0.96です。こんな状況ですから、今は初めて抱っこする赤ちゃんが自分の子ということもよくあり、新米保護者が不安や疑問を抱くのは当然といえます。

