感情をコントロールする方法はあるのか。起業家の橋本真里子さんは「嫌な出来事があった時、正面から受け止めるより、かわしたほうがイラッしないですむ。私は、心の中でわざと大袈裟にリアクションを取るようにしている」という――。

※本稿は、橋本真里子『感情の作法』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

従業員に怒っているビジネスマン
写真=iStock.com/koumaru
※写真はイメージです

イラッするのは「馬の脳」のせい

どんなふうに安定した感情を身につけるかを知るためには、なぜ私たちがイラッとしてしまうのかを知ることが近道です。

イラッとしてしまう理由は、脳の仕組みにあります。

人間の脳は、大きく3つの部分から成り立っているといわれています。

中心にある脳幹は、呼吸や体温調節など、生きていく上で最低限必要な機能を担っています。より原始に近いことから「爬虫類の脳」ともいわれます。

脳の一番外側にある大脳皮質は「人の脳」といわれ、言語や記憶、思考を司っています。物事を理論的に考えたり、感情をコントロールしたりするのは、この中の前頭前野の役割です。

そして喜怒哀楽の感情を司るのは、真ん中にある大脳辺縁系という部分で、「馬の脳」ともいわれます。とりわけ怒りや不安、恐怖などを感じた時、この中にある扁桃体という部分が強く反応します。

怒りは本能的なものでコントロール不可

脅威を感じると、私たちは怒りや恐怖でいっぱいになり、理性はどこかに吹き飛ぶようにできています。

なぜなら、野山で熊やライオンに出くわしたら、理性的に考えているヒマはありません。まず非常態勢に入って、戦うか逃げるかしなければならない。そのため「馬の脳」をフルに活動させて、恐怖や不安などの「指令」を全身に発する。そうすることで生き延びてきたからです。

その名残りで、今でも私たちは、脅威を感じると、扁桃体が過剰反応して、理性的な判断をする前に怒りや恐怖に支配されます。これを「扁桃体ハイジャック」といいます。

嫌なことを言われた時カッとなってしまうのは、攻撃を受けたと感じて扁桃体が反応するからです。

感情のコントロールが難しい理由は、ここにあります。

怒りや恐怖などの感情は本能的なものです。

意志の力でコントロールできるものではないのです。

だからこそ、「イラッとするのはいい、ただバレないようにする」という感情の作法が大事になるのです。