適切な距離感を保つのが難しい

私自身にも息子と娘がいるのでよく分かるが、どうしても息子との関係と娘との関係は同じにはならない。古来、息子という存在には、精神的な意味での「父殺し」のタイミングが必ず訪れる。

前社長の父親が過剰な口出しをしようものなら「親父、うるさい! 俺が継ぐんだから自由にやらせろ!」とはっきり反発するだろうし、父親としても、「あとは自分でやれ」と、良くも悪くも突き放すことができる。このようなぶつかり合いや距離感は、むしろ健全だ。

ところが娘に対して、父親はつい甘くなり、構いすぎてしまいがちだ。娘の側も息子ほど強く反発することは少ないため、父親は「良かれと思って」ついつい口を出しすぎてしまう。その結果、お互いに距離が近づきすぎてしまい、経営が混乱してしまう。親子が直結した経営では、周囲が意見しにくくなるという問題があるが、特に父娘の場合それが顕著におきやすいのだ。