2月末、ベトナムで2回目の米朝首脳会談が開かれる。1回目で話し合われた「非核化プロセス」はまったく進んでいないが、なぜトランプ大統領は金正恩委員長との再会を決めたのか。著述家の宇山卓栄氏は「在韓米軍の駐留経費を『余計なコスト』としか見ないトランプ大統領は、同軍の縮小・撤退に向けた布石を打ち、制裁緩和も含む譲歩を示す気だ」と予測する――。
核を放棄する素振りもない北朝鮮の金正恩委員長と、どんな「ディール」を展開するつもりなのか――。2月5日の一般教書演説で、2回目の米朝首脳会談の日程を発表したトランプ米大統領(写真=ロイター/アフロ)

2回目の会談を開くに足る「進展」はあったのか

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長との2回目の米朝首脳会談を、2月27日と28日にベトナムで行う――2月5日に行った一般教書演説の中で、トランプ米大統領はそう発表しました。1月18日にホワイトハウスで行った、金英哲(キム・ヨンチョル)統一戦線部長との会談の後に浮上した話が、大統領自身の言葉で裏付けられた形です。

昨年6月12日にシンガポールで開かれた1回目の米朝首脳会談では、非核化のロードマッブは決められず終わりました。その後米朝の実務者レベルでの交渉につながる可能性も想定されましたが、実際には交渉は進んでいません。非核化交渉に関して、何らかのメドが立ったのでしょうか。もし、そうでないならば、再び首脳会談を行ったとしても、成果は何も得られないばかりか、北朝鮮を増長させる原因にもなりかねません。

金正恩委員長は新年の辞で、「これ以上、核兵器をつくらず、使わない」と表明しましたが、「核を放棄する」とは言っていません。ここにきて、一足飛びに何らかの合意に達したとするならば、それはいったいどのようなものなのでしょうか。アメリカのメディアは、トランプ=金英哲会談でも非核化交渉の合意に向けた進展はなかったと報じています。

オバマ前大統領をはじめとする歴代の米政権が、ここまで問題を放置したからこそ現在の状況があることを考えれば、トランプ大統領はまだ朝鮮半島問題にコミットしてくれている方だとみることもできるでしょう。それでも、1回目の米朝首脳会談から8カ月が経過し、その間に非核化交渉について具体的な進展がないまま、2度目の首脳会談が行われようとしていることについて、日本の立場からは重大な懸念を抱かざるを得ません。

日本にとって最大の懸念は、アメリカが朝鮮戦争の「終戦宣言」に応じるかどうかです。1回目の首脳会談の際に交わされた「米朝共同宣言」の第2条には、「アメリカと北朝鮮は、朝鮮半島に、永続的で安定した平和の体制を構築するため、共に努力する」と書かれています。この文言を根拠に、北朝鮮は「平和体制構築」のための終戦宣言を求めています。