ベンチャー投資家は人をどう見極めるのか

英語圏でしばしば耳にする「ジョブ・ディスクリプション」という言葉がある。日本語では「職務記述書」と訳されているようだ。

才能のある人を見いだし、育てる仕事が重要になっていく。(PIXTA=写真)

基本的には会社との雇用契約を結ぶ際、どのような仕事をすべきかをあらかじめ決めておくのが職務記述書の役割。一方、会話の中では、それぞれの仕事がどのような内容なのか、何がポイントなのかということを説明するときにもこの言葉が使われる。

先日、ベンチャーキャピタルで投資先を決める仕事をされている方とお話しして、とても面白かった。

さまざまな人に会うのが重要な仕事で、いっしょにご飯を食べたり、お酒を飲んだりして関係性を築き上げていくのだという。そうやって会った人のうち、実際に投資するのは約500人に1人だというから、かなりの「狭き門」である。

もちろん、技術的な視点やマーケットも大切だが、何よりも重要なのは、起業家、起業志望者の「人柄」なのだという。

人間性を見極めるのは、難しい。それは、直感的なものだし、「腹を割って話す」という言葉に象徴されるように、お互いの身体性を含めた全身のコミュニケーションが大切になる。

場合によっては、起業するずっと前、学生の頃から、「これは」という人は目をつけて、関係性を築いていくのだという。まずは利害関係のない「友達」になる。そして、いよいよ起業、というタイミングになって、ぱっと投資を決めるのだという。

ベンチャーキャピタルの投資は、時代の花形の仕事。しかし、お話を聞いていると、なかなか大変だなと感じた。投資先になった企業の経営者には、継続的に会って情報交換したりアドバイスをしたりするというから、一日に何回も何人にも会って話し合いを繰り返すのだろう。